2025年10月19日(日) 09:51 JST
ゲストユーザ: 堀越
建築関係者は勿論のこと、一般の方にも知っていてもらいたいので書きます。
2005年秋に発覚した耐震偽装ですが、未だに被害に遭われた方の問題は全て解決していません。ほとんど解決していないと言っても良いでしょう。
そして2006年に建築基準法が改正され、今年2007年6月20日が改正法の施行日になっています。もう、直前ですね。でも、今になって構造設計とその確認審査は大混乱を来しています。なぜーーー???。
法律は2006年に制定されましたが、それの技術的補完をするべき運用指針や構造関係の考え方・計算方法・書式・必要書類などを定める建築基準法関係の施行令・告示・施行規則は、2007年になってようやくその「案」が国土交通省から『パブリックコメント募集』の形で発表されました。それも、1月27日のものに始まり5月17日までの間に五月雨的に発表されました。そして、5月17日に「決まった」として告示がでましたが、それまでに寄せられた『パブリックコメント』の実施結果(国民から寄せられた意見など)は、6月になっても公表されていません。
そして、確認審査の基準となる構造設計に対する運用指針は、未だに公表されていません。
結局、どうなったか?!。
今月に入り、確認審査機関は、6月20日以後に着工となる建物、即ち、改正基準法が適用される建物の審査受付をしないところが非常に多くあります。また、確認審査中の建物でも、新しい構造計算の運用指針で審査を行わなくてはならない建物の審査を中断しているところも多数あります。
結局、建築主は、国交省が運用指針を決定し確認審査機関に通知し、審査機関が審査し問題が有ればその内容を構造設計者に示し、構造設計者が対応し終わるまで確認が下りず、着工もできない状態です。建設資金の一部を借金している人にとっては、予定より返済利息が増える可能性もあります。
当然ですが、耐震偽装で問題にもなった、国土交通大臣認定の構造計算用一貫処理プログラムは、法律施行日の6月20日までに新たな構造基準・計算規準を盛り込むことはできず、当分の間は無認定プログラムで計算をして審査を受けるという違法状態が続きます(これを読んでいる方々の為にかきますが、私自身の経験から数十万行以上にもなる膨大な計算プログラムを、改正告示などが公表されてから1ヶ月程度で絶対に間違いの無い完璧なものに修正することなど不可能です)。
なのに、国交省は、法律施行後、各建築確認検査機関(特定行政庁も民間も)に対して、適正に法律が運用されているかの検査に入るつもりだそうです。
「いまの状態じゃそんなことムダでしょ。一体なにが知りたいの?」と言いたくなります。
なぜ、今回、国交省がもっと早く施行令・告示し公表できなかったのでしょうか。昭和56(1981)年の新耐震設計法のときと比べると「何をやっているんだ」と言いたくなります。なぜ段取りが遅れているのか非常に疑問です。
昭和56(1981)年の構造基準改正(いわゆる新耐震設計法)の時は、1年以上前から建築設計者に対して説明を開始し、法律施行半年前には全国で講習会を始めていました。当然、法律施行日前に確認申請する建物は、問題なく新耐震設計法で設計し確認審査を受けていました。
現在の確認審査の状況をご存じの方は、この発言へのコメントでみんなに知らせましょう。
さて、最後に一言、6月19日までに着工した建物(杭打ちや根切りが始まった建物)は改正法律は適用しなくても良いことになっています。法律改正で建物の耐震性能が大幅に向上したわけではありませんが、建築主の方、建物を購入される方はこの事をご存じでない方が多いようなのでここに書いておきます。
この内容は、国交省の事務連絡?として下記のアドレスにPDFファイルがありますのでご覧下さい。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/kensetu.files/18kaisei/jimurennraku01.pdf
ちなみに、昭和56(1981)年新耐震設計法も、法律施行日(たしか6月1日だったはず)の前日までに着工できた建物は旧耐震設計法も認められていました。民間の建物は勿論、公共の建物も。先を見越した良心的な建築主・設計者達は新耐震設計で建てていましたが・・・。
2007年改正基準法施行日を目前に控えた今の状態でした。
関連情報
平成19年6月20日施行の改正建築基準法等について
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/h18_kaisei.html
JSCA 社)日本建築構造技術者協会
国土交通省へ要望書「建築基準法等改正の移行期間の取り扱いについて」を提出
http://www.jsca.or.jp/vol2/23news_release/2005False/JSCA20070531.pdf
だいおー/大内
だいおー/大内
ゲストユーザ: TKK
>現在の確認審査の状況をご存じの方は、この発言へのコメントでみんなに知らせましょう。
との事ですので、断片的に、(あくまでも私の把握している状況です。事実かどうかは判断出来ません)
>膨大な計算プログラムを、改正告示などが公表されてから1ヶ月程度で絶対に間違いの無い完璧なものに修正すること
これにつきましては、「建築基準・審査指針等検討委員会」の「議事録」中に
「既存のプログラムを修正すれば済むので、それほど手間はかからない」旨の発言があったような記憶があります。
国交省の方針が決まっても、それほど簡単に出来上がるとは考えられませんけれども。
また、
「それよりも、問題は、完成したソフトを構造設計者が使えるのか、講習会が必要ではないか」といった発言も。
冗談じゃあない、あなた方よりは、使い方は知っております。よねえ。
>そして、確認審査の基準となる構造設計に対する運用指針は、未だに公表されていません。
金曜日の、とある講習会で、予備受付期間に訂正・差し替えを可能とし、完璧にしてから「本申請」とする。
という審査機関の方針を聞いてきました。
「方針を出してみて、行政(県)から何か言ってくるのを待つしかないので、それがねらい」だそうです。
今後は、この審査機関に申請しようと思っています。
なお、某市役所では、判定料は何度も頂くのは気の毒なので、「預かり金」として処理をしたいと
県にお伺いを立てたところ「いっさいそういった処理はまかりならぬ」と言われたそうです。
>なぜ、今回、国交省がもっと早く施行令・告示し公表できなかったのでしょうか。
つい最近の社会保険庁の対応で分かりますね。「想定をはるかに超えたので・・・」
と同様、実務を知らないので、ご自分達の能力を「過信」されたのだと思います。
「一本の法律ぐらい何とかなるさ」→「作業」→「あれ、思ったより、複雑に絡み合ってるぞ」
と言った感じだと判断しても、完全に間違っているとは思えません。
もってまわった言い回しにするしかありませんけれども。
久しぶりなので、これぐらいにしておきます。
ゲストユーザ: 堀越
どもども、TKKさん
>金曜日の、とある講習会で、予備受付期間に訂正・差し替えを可能とし、完璧にしてから「本申請」とする。という審査機関の方針を聞いてきました。
私もこの話は聞いています。みんな知っているのでは・・・。でも、助かりますなー。
>なお、某市役所では、判定料は何度も頂くのは気の毒なので、「預かり金」として処理をしたいと
県にお伺いを立てたところ「いっさいそういった処理はまかりならぬ」と言われたそうです。
預り金は無理でしょう。でも某機関のようなやり方なら誰からも文句は出ないかと。
>つい最近の社会保険庁の対応で分かりますね。「想定をはるかに超えたので・・・」
と同様、実務を知らないので、ご自分達の能力を「過信」されたのだと思います。
過信と共に、これだけ騒がせた問題だから国が決めたことに文句は出ないと、タカをくくっていたとしか思えません。
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