建築技術 2023 09月号

特集は
環境振動を考える2023
【特集】環境振動を考える2023
監修:冨田隆太(日本大学理工学部建築学科教授)
誌における環境振動の特集は,2004年以来の約20年ぶりである。その間,環境振動を取り巻く状況として,日本建築学会の環境振動運営委員会では,「建築物の振動に関する居住性能評価規準・同解説(2018)」が改訂され,「居住性能確保のための環境振動設計の手引き(2020)」が発刊された。
また,「建築物における環境振動測定・分析に関する資料(2019)」がWebで公開された。一方,日本騒音制御工学会からは,「地域の環境振動(第2版)(2023.2)」が出版された。
本特集では,最近の環境振動分野の動向を紹介すると共に,屋外の公害振動と規制,建築物の環境振動に関する評価,設計,対策,屋内外での測定法の留意点などを具体的に解説する。
Ⅰ.環境振動分野の現状と課題│冨田隆太 ……58
Ⅱ.環境振動の苦情と規制
環境省における振動対策の取組み│東海林大輔……62
振動規制法および振動に係る苦情の状況│横島潤紀……64
屋外振動の測定方法と評価│馬屋原博光……66
環境振動に関する裁判例と未然防止のための検討内容│井上勝夫……68
Ⅲ.建築物の環境振動の測定
最近の環境振動計測機器│足立 大……70
建築物における環境振動測定・分析(人の動作)│冨田隆太……72
建築物における環境振動測定・分析(交通)│松田 貫……74
風による建物の応答の測定│鈴木雅靖……76
カーペットや畳上で設置共振の誤差を低減する環境振動測定方法│冨田隆太……78
Ⅳ.建築物の振動に関する居住性能評価
居住性能評価のあゆみ│石川孝重……80
居住性能評価規準(2018)の概要と課題│横山 裕……82
振動の継続時間を考慮した鉛直振動の評価│冨田隆太……85
振動の継続時間を考慮した水平振動の評価│林 健太郎……88
実建物を対象とした複合振動評価│松田 貫……90
木造大スパン床の歩行振動の評価方法│横山 裕……92
国内外の環境振動評価に関する規準・規格│松本泰尚……94
Ⅴ.建築物の環境振動設計
環境振動設計の確立と課題│濱本卓司……96
高層建築物の環境振動設計│朝日智生+塚越治夫……100
鉄骨造の環境振動設計│増田圭司……102
木造の環境振動設計│杉本健一……104
戸建住宅の環境振動設計に向けて│東田豊彦……106
床振動に及ぼす間仕切壁の影響│丸尾純也……108
Ⅵ.環境振動の対策
環境振動対策の基本│内田季延……110
振動防止材料│榎本祐司+中来田 道……112
鉄道振動の特性と対策│横山秀史……114
工場・事業場の振動対策の考え方│松下仁士+井上竜太……116
建設工事の振動対策│小島宏章……118
建築設備の振動特性と対策│峯村敦雄……120
多人数動作の振動対策│松永裕樹+井上竜太……122
制振装置(TMDとAMD)による建築物の振動対策│崔 井圭……124
Ⅶ.環境振動の新たな展開
複合振動の評価│横山 裕……126
振動と騒音の複合評価│松本泰尚……128
数分間の道路交通振動を対象とした環境振動評価尺度│冨田隆太+青木怜依奈……130
道路交通振動の建物入力を考える│石田理永……132
広域高密度環境振動モニタリングによる振動源の特定│濱本卓司……134
【architectural design】
水戸市民会館│伊東豊雄建築設計事務所・横須賀満夫建築設計事務所 共同企業体……12
やぐら状の木組みが建物を包み広場をつくる│樽谷 敦……28
複雑さと不自由さから生まれる耐火木造の構造デザイン│江村哲哉……34
ECI方式の採用とBIMの活用│樽谷 敦+福島一夫……38
大ホールの音環境計画│福地智子+鈴木航輔……40
水戸市民館の家具デザイン│藤江和子……42
難易度の高いホール建築の施工計画│福島一夫……44
【連載】
高強度・太径鉄筋を用いた実務配筋マニュアル 第2回◉接合部配筋詳細の基本事項│益尾 潔……40
世界文化遺産「富岡製糸場 西置繭所」の保存・活用 最終回◉富岡製糸場西置繭所の試み―修理・耐震・活用に取り組む│木村 勉……44
新時代を拓く最新施工技術 第162回◉横浜関内駅前における地下鉄および首都高地下トンネルに隣接した新キャンパスの合理的な施工への取組み│赤羽央次+田原健一……48
建築関連最新判例の解説 第114回◉建設業法上の営業所登録をしていない店舗における各種行為に関する法律相談事例│秋野卓生……156
建築 東西南北 第23回◉省エネな住まい方の普及│清家 剛……160
施工者に幸あれ 第138回◉斎藤公男門弟,日本郵政に有り 構造家・城戸隆宏│朝倉幸子……166
自走する構想 第27回◉図書館の可能性 1│遠藤克彦……167
一言居士◉強いメディアとしての建築│戸倉健太郎……155
ザ・ブックス◉アジア「窓」紀行―上海からエルサレムまで│田熊隆樹 著 竹内申一 評……158
【TECHNICAL View】
天然芝と屋内競技場を両立させた多機能複合型スタジアム床昇降システム……50
建築構造体にプリント施工に初適用……51
耐震と防振性能を併せもつ天井デバイス……52
3次元鉄骨建方精度管理システム……53
長周期地震動の揺れを低減する制御層制震構造……54
コンクリートのはつり量・斫り深さを自動算出……55
【MACRO & MICRO】
トピックス+セミナー+コンペ・コンテスト+企業情報+イベント・ギャラリー+ブックス……155
【BRI news & topics】
建築研究所で公表した建築研究報告の概要……160
【BUIL TECH】
もりだくさんのホットな製品情報……144
【表紙】
水戸市民会館
設計:伊東豊雄建築設計事務所・横須賀満夫建築設計事務所 共同企業体
撮影:大野 繁
デザイン:箕浦卓(M's SPACE)
通巻 884号
発売日 2023年8月17日
判型・頁 B5判・170頁
雑誌コード 03325-09
【次号予告】
建築技術2023年10月号(9月15日発売
特集:ネットゼロ時代に向けて!ライフサイクルカーボン排出量算出法と関連業界の取組み
監修: 伊香賀俊治(慶応義塾大学理工学部教授)
2050 年ネットゼロ社会の実現に向けて,わが国では建築物省エネ法の改正などによる ZEH/ZEB の普及・推進などが進められている。
一方,欧米では建築物の資材製造・施工段階から改修,解体,廃棄時に発生するエンボディドカーボンを削減する取組みが始まり,特に資材製造・施工段階までのアップフロントカーボンを建築規制に取り入れる欧米の国や自治体が出現している。
わが国でも,省エネ、創エネもあわせて総合的に LCCO2 を実質ゼロにする建築物の普及を目指し、ゼロカーボンビル推進会議shozai を立ち上げ、多方面から国際社会・次世代に通用する脱炭素への取組みを進めている。
本特集では、新築・改修・解体時のエンボディドカーボン削減に重点を置き、ネットゼロに向けた国内外の動向を紹介する。
【architectural design】
【長崎市庁舎】 建築:構造・山下設計/ 施工・清水建設/所在・長崎県長崎市
【真鶴の家】 建築・萩原剛建築設計事務所/構造・トクテック/環境・竹中工務店/施工・大同工業/所在・神奈川県 足柄下郡真鶴町
※建築技術特集「環境振動を考える2023」は,公益社団法人日本建築士会連合会および一般社団法人建設業振興基金の継続職能開発(CPD)の自習型研修プログラムです。単位の取得を希望される方は,CPD情報システムにアクセスして本誌の設問に解答してください。